AS
外部に対して共通のルーティングポリシーを持つIPネットワークのまとまり。通信事業者や企業などが運用し、BGPによる経路情報交換ではAS番号(ASN)で識別される。
イマシルちゃんの解説
インターネットは、プロバイダや企業などが運用するネットワークをつないでできているんだ。
それぞれの組織では、外部へどの経路を知らせるか、ほかの組織からどの経路を受け取るかを一定の方針で決めているよ。
こうした一つの方針のもとで管理されるネットワークのまとまりをASというの。
ASには識別用のAS番号があって、別のASと経路情報をやり取りするBGPで使われるんだ。
同じASの中での経路制御には、OSPFやIS-ISなどのプロトコルを使えるよ。
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より深い解説
定義
AS(Autonomous System:自律システム)は、1つの組織(またはいくつかの組織の連合)が、一貫したルーティングポリシーに基づいて管理するIPネットワークの集合である。RFC 1930では、「1つ以上のネットワーク事業者が運用し、外部から見て1つの明確なルーティングポリシーを持つ、IPプレフィックスの集まり」と説明されている。
インターネットは、数万のASが互いに接続し合うことで成り立っている。
AS番号
ASは、AS番号(ASN)で識別される。番号資源はIANAから地域インターネットレジストリ(RIR)へ配分される。アジア太平洋地域のRIRはAPNICであり、JPNICは日本を担当する国別インターネットレジストリ(NIR)である。地域全体を担当する組織と、国・地域内で割当てなどを行う組織を区別する。
| 種類 | 長さ | 範囲 |
|---|---|---|
| 2オクテットAS番号 | 16ビット | 0 ~ 65535 |
| 4オクテットAS番号 | 32ビット | 0 ~ 4294967295 |
もともとAS番号は2オクテットだったが、割り当てが足りなくなったため、RFC 4893(現在はRFC 6793)で4オクテットに拡張された。2オクテットのAS番号は、4オクテットの番号の先頭16ビットが0のものとして扱われる。
表の範囲はビット長で表現できる値であり、すべてが一般向けの割当対象という意味ではない。予約された値や私用の範囲がある。
私用の番号を使う範囲
通信事業者の閉じたVPNと拠点との経路交換など、世界全体で一意の番号を必要としない用途にはプライベートAS番号を使える。予約範囲は、2オクテットでは64512~65534、4オクテットでは4200000000~4294967294である。例えば65500は前者に含まれる。
私用の番号は、別の組織が同じ値を使っている可能性がある。接続先との重複を調整するとともに、経路を世界のインターネットへ広告するときは、AS_PATHなどから私用の番号を除去する必要がある。番号を私用にしただけで経路の外部流出が自動的に防がれるわけではない。
ASの中と外で使うプロトコル
| 区分 | 用途 | 代表的なプロトコル |
|---|---|---|
| IGP(Interior Gateway Protocol) | AS内部の経路制御 | RIP、OSPF、IS-IS |
| EGP(Exterior Gateway Protocol) | AS同士の経路制御 | BGP-4 |
AS内部では、各組織が自由にプロトコルを選び、通信の効率を重視して最短経路を計算する。一方、AS同士の間では、どの相手と経路を交換するか、どの経路を優先するかといったポリシー(ビジネス上の取り決め)が重視されるため、BGPのように経路の属性で方針を表現できるプロトコルが使われる。
ASの接続形態
| 形態 | 内容 |
|---|---|
| シングルホーム | 上位のASと1か所だけで接続する |
| マルチホーム | 複数の上位のASと接続し、冗長性を確保する |
| トランジットAS | ほかのAS同士の通信を中継する(大手ISPなど) |
| スタブAS | 自分宛ての通信だけを扱い、ほかのASの中継はしない |
ASを持つ組織同士が、互いの利用者の通信を無償で交換し合う接続をピアリング、料金を払って上位のASにインターネット全体への到達性を提供してもらう接続をトランジットという。
よく似た「まとまり」との区別
ネットワークの世界には、ルータの集合やネットワークの集合を表す言葉がいくつもある。ASと混同しやすいものを整理しておく。
| 言葉 | 範囲を決めるもの |
|---|---|
| AS | 管理ポリシー(組織)。AS番号で識別する |
| OSPFエリア | OSPFのLSAがフラッディングされる範囲。エリア番号で識別する |
| OSPFのネットワークタイプ | ブロードキャスト型、ポイントツーポイント型など、リンクの種類 |
| ルーティングドメイン | 同じルーティングプロトコルで経路情報を交換するルータの集まり |
ASは「技術的にどうつながっているか」ではなく、「誰が、どんな方針で管理しているか」で区切られたまとまりである点が最大の特徴である。1つのASの中で、OSPFとRIPのように複数のIGPが動いていてもかまわない。
参考資料
実際の試験ではここに出る!全18問
ネットワークスペシャリスト
- 午後Ⅰ
- 午前Ⅱ
- 午後Ⅱ