TLD
DNSの名前空間で階層の頂点のすぐ下に置かれるドメインであり、ドメイン名の最も右側のラベルにあたる。.comなどのgTLDと、.jpなど国や地域に対応するccTLDに大別され、各TLDを管理する組織への委任の情報はルートゾーンに登録される。
イマシルちゃんの解説
「www.example.jp」のようなドメイン名は、右へ行くほど大きなまとまりを表しているんだ。
その一番右にある「jp」や「com」の部分をTLD(トップレベルドメイン)というよ。
TLDは、DNSの名前の階層で頂点のすぐ下にある、一番大きな区分のドメインなんだ。
「com」のような分野別のものと、「jp」のような国や地域ごとのものがあるの。
TLDごとに管理する組織が決まっていて、その下の名前が重ならないように登録を受け付けているよ。
名前解決のときもTLDの担当サーバを順にたどるから、世界中で同じ名前を迷わず使えるんだ。
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より深い解説
定義と位置付け
TLD(Top-Level Domain:トップレベルドメイン)は、DNSの木構造で最上位のルートの直下にあるドメインである。ドメイン名はドットで区切ったラベルを右から順にたどるため、最も右のラベルがTLDになる。
www.example.co.jp.
└ ルート(末尾の「.」。通常は省略する)
└ TLD(jp)
└ 第2レベルドメイン(co)
└ example.co.jp
この例では、jpの下にco、その下にexampleが置かれている。TLDは「どの組織の名前か」ではなく、「その名前をどの管理者の範囲で登録したか」を示す最上位の区分である。
TLDの種類
TLDの分け方の原型は、1994年のRFC 1591に示されている。同文書は、汎用的なTLDとしてEDU・COM・NET・ORG・GOV・MIL・INTの7つを挙げ、それ以外の多くを国を表す2文字のコードとしている。
| 種類 | 例 | 特徴 |
|---|---|---|
| gTLD(分野別トップレベルドメイン) | .com、.net、.org | 用途や分野で分けた区分。後から多数追加されている |
| ccTLD(国別コードトップレベルドメイン) | .jp、.kr | ISO 3166の国・地域コードに基づく2文字の区分 |
| 国際化されたTLD | 先頭が xn-- のTLD | 英数字以外の文字を使うTLD。DNS上はASCII文字列に変換して扱う |
| .arpa | 逆引き用のドメイン | インターネットの基盤に使う特別なTLD |
分野別のTLDは、RFC 1591の時点では少数だった。その後ICANNが新しいTLDを募集する制度を設け、2012年の募集で多くのTLDが追加された。ICANNは2026年の募集ラウンドも設けている。地名やブランド名、一般的な単語のTLDがあるのはこのためである。
国別のTLDであっても、登録資格を国内の利用者に限るかどうかはTLDごとの規則による。逆に分野別のTLDだから海外向け、という意味もない。
.arpa は逆引きに使うドメインを置くTLDであり、IPv4の逆引きはin-addr.arpa、IPv6の逆引きはip6.arpaの下に置かれる。IANAのTLD一覧では、管理者はInternet Architecture Board(IAB)とされている。
名前解決の中での役割
DNSの最上位であるルートの情報をまとめたものがルートゾーンである。その中には主に、各TLDの権威DNSサーバを示すNSレコードと、そのアドレスが入る。DNSSECを使うTLDについては、TLDの鍵を確かめるためのDSレコードも登録される。
この情報を応答するのがルートサーバである。Root Server Technical Operations Associationによれば、ルートサーバは13の名前で運用され、その運用は12の独立した組織が担う。各名前のサーバはエニーキャストによって世界の多数の拠点に置かれており、その数の機械しかないわけではない。
フルサービスリゾルバがwww.example.jpを調べる流れを、応答の中身に注目して示す。
1. ルートサーバへ問い合わせる
→ 答えは知らないが「jp. の権威DNSサーバはこれ」と委任先を返す
2. jp の権威DNSサーバへ問い合わせる
→ 「example.jp. の権威DNSサーバはこれ」と委任先を返す
3. example.jp の権威DNSサーバへ問い合わせる
→ www.example.jp の Aレコードを返す
ルートサーバが返すのは最終的な答えではなく、TLDへの委任の情報である。またフルサービスリゾルバは、TLDの委任情報をTTLの間キャッシュする。そのため、名前解決のたびにルートサーバへ問い合わせるわけではない。
管理する組織と登録の流れ
TLDの管理は、ルートゾーンの管理と、各TLDの中の登録の管理に分かれる。
| 主体 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| IANA機能の運用者 | TLDの管理者を記録し、ルートゾーンの委任情報を管理する | ICANNの関連組織であるPTI |
| レジストリ | 1つのTLDの登録データベースと権威DNSサーバを運用する | .jpはJPRS、.comはVeriSign |
| レジストラ | 利用者からドメイン名の登録申請を受け付け、TLDの管理組織へ取り次ぐ | 登録事業者 |
| 登録者 | ドメイン名を登録して使う | 企業、個人 |
ルートゾーン管理の公式説明によると、この機能はTLDの管理者を割り当て、その技術的な委任の情報をルートゾーンに記録する。運用はICANNの関連組織であるPTI(Public Technical Identifiers)が担っている。
RFC 1591は、TLDを任された管理者を、その地域社会に奉仕する義務を負う受託者(trustee)と位置付けている。誰でも好きな文字列のTLDを自由に作れるわけではない。登録した名前の管理と、Webサーバなどを実際に運用することも別の仕事である。
予約された名前と組織内での名前の付け方
社内ネットワークで、登録していない文字列をTLDのように使う設計には危険がある。後にその文字列が正式なTLDとして追加されると、社内向けの名前と外部の名前が衝突し、問い合わせが外部へ漏れたり、意図しない宛先に接続したりするおそれがある。
このため、用途が決まった名前が予約されている。RFC 6761は、試験用の test、存在しないことを示す invalid、ループバックアドレスを表す localhost、文書の例示に使う example などを特別な用途のドメイン名として定めている。この記事の例で使っている example.jp も、例示のための名前である。
組織内専用の名前については、ICANNの理事会が2024年7月に .internal をルートゾーンへ委任しない名前として予約した。この経緯をまとめたインターネットドラフトにも記載がある。ただし、外部の利用者や証明書が必要なサービスでは、登録済みのドメイン名の下に社内用のサブドメインを作る方が扱いやすい場合がある。
似た用語との区別
TLDの分類は「どの管理者の範囲か」を表す。名前に使う文字や、名前の書き方の完全さとは別の観点である。
| 用語 | 着目しているもの | 例 |
|---|---|---|
| TLD | 名前空間の最上位の区分 | jp、com |
| 国際化ドメイン名 | 英数字以外の文字を使えるようにする方式 | 日本語のラベルを含む名前 |
| FQDN | ルートまでを省略せずに書いた名前 | www.example.co.jp. |
| ゾーン | 1つの管理者が権威を持つ範囲 | example.co.jp のゾーン |
国際化ドメイン名は、TLDの種類ではなく文字の扱いの仕組みである。漢字などのラベルはPunycodeで先頭が xn-- のASCII文字列に変換され、TLDだけでなく下位のラベルにも使われる。分野別か国別かという区分と、使う文字の区分を混同しないことが大切である。
試験での問われ方
- gTLDとccTLDの意味や例を、国際化ドメイン名など別の観点の用語と区別させる
- 名前解決の手順で、ルートサーバやTLDの権威DNSサーバが返す情報を問う
- ICANN・レジストリ・レジストラなど、ドメイン名に関わる組織の役割を区別させる
- 逆引きで使う in-addr.arpa や ip6.arpa の位置付けを問う
参考資料
- RFC 1591:Domain Name System Structure and Delegation
- IANA:Root Zone Management
- IANA:Root Zone Database
- Root Server Technical Operations Association
- RFC 6761:Special-Use Domain Names
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