エクストラネット

読み:えくすとらねっと / 英語表記:Extranet

自組織のネットワークやシステムの一部を、取引先など特定の外部組織にも利用させる、インターネット技術を使ったネットワークである。参加する組織と利用者を限定し、通信を保護したうえで、受発注や情報共有といった企業間の業務に使う。

イマシルちゃんの解説

部品を仕入れる会社と工場では、注文や在庫、納期のやり取りを毎日のようにしているんだ。
これを電話やファクスで続けると、手間がかかるうえに書き間違いも起きやすいの。
そこで社内だけで使っていたネットワークの一部を、決まった取引先にも使ってもらう形があるよ。
取引先の担当者はログインしてから、Webの画面で注文や在庫の情報を確かめられるんだ。
このように外部の組織とつながって情報をやり取りするネットワークの形態を、エクストラネットというよ。
見せる範囲をきちんと区切れば、相手との仕事をぐっと速く進められるんだ。

より深い解説

定義と位置付け

エクストラネット(extranet)は、通信規格の名前ではなく、ネットワークの利用形態を表す言葉である。RFC 4949をもとにしたNISTの用語集では、組織とその取引相手との間のアプリケーションデータの通信に使うネットワークとされている。

組織の内部だけで使うイントラネットと、不特定多数が使うインターネットの中間に位置付けられる。利用者は不特定多数ではないが、自組織の構成員だけでもない。管理の及ばない相手組織の人と端末が参加することが、設計を考えるうえでの出発点になる。

観点イントラネットエクストラネットインターネット
利用者自組織の構成員自組織と認めた取引先不特定多数
相手の端末の管理自組織で管理できる相手組織が管理する管理できない
アクセスの範囲社内の資源全般業務に必要な資源だけ公開した資源だけ

つなぎ方の選択肢

取引先との接続には、大きく分けて次の方式がある。相手の組織にどこまで準備を求められるかと、扱う情報の重要度で選ぶ。

方式接続のしかた特徴
Webポータル取引先がインターネットからTLSで保護されたWebサイトへログインする相手はWebブラウザだけで使える。認証の強さが安全性を左右する
リモートアクセス型のVPN取引先の利用者がSSL-VPNなどで接続する利用者ごとに接続を許可できる。接続後に使える範囲の制限が必要
拠点間VPN両組織のVPN装置の間にIPsecのトンネルを張るシステム同士の自動連携に向く。装置の設定を相手と合わせる
閉域網の共用IP-VPNなど通信事業者の閉じた網に両組織が参加するインターネットを通らない。回線費用がかかる

どの方式でも、入口でつなぐことと、つないだ後に何を使わせるかは別に考える。VPNで接続できた取引先が社内のすべてのサーバへ到達できる構成では、エクストラネットではなくイントラネットへの招待になってしまう。

使われる場面

代表例は、受発注や請求の情報を、取り決めた形式のデータとして組織間で交換するEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)である。紙の伝票を入力し直す手間と誤りを減らせる。ほかにも次のような用途がある。

どれも、相手に見せる情報と見せない情報がはっきり分かれる。そのため設計の中心は、ネットワークの接続よりも、誰に何を見せるかというアクセスの範囲の管理にある。

設計の要点

外部の組織が使う資源は、社内専用の資源と同じ区画に置かない。エクストラネット用のサーバはDMZや専用の区画に配置し、そこから社内の基幹システムへの通信は必要なものだけを許可する。取引先が侵入の足掛かりにされた場合も、社内全体へ被害が広がらないようにするためである。

アクセス制御は、組織ごと、さらに利用者ごとに業務に必要な最小限の範囲だけを許可する。これは最小権限の考え方に沿う。A社の担当者がB社向けの見積もりを見られる、といった取引先同士の情報漏えいも防がなければならない。

利用者の確認には、パスワードだけでなく多要素認証や、端末に配布したクライアント証明書を組み合わせる。相手組織の人事異動や退職は自組織から見えないため、アカウントを定期的に棚卸しし、契約の終了時には速やかに無効にする手順を決めておく。

システム同士を拠点間VPNでつなぐ場合は、両組織のプライベートIPアドレスが重なることがある。例えば両組織が同じ 10.1.0.0/16 を使っていると、相手のネットワーク宛ての経路を正しく決められない。この場合は、接続点で相手から見えるアドレスを別の範囲に変換するNATを使うか、連携用に重ならないアドレスを取り決める。

運用とリスク

エクストラネットでは、自組織が管理できない端末やネットワークが通信の相手になる。取引先の端末がマルウェアに感染したり、取引先のアカウントが盗まれたりすると、その接続が自組織への侵入経路になり得る。取引先や委託先などの弱点を足掛かりに本来の標的を狙う攻撃は、サプライチェーン攻撃と呼ばれる。

このため、接続した後の通信も監視の対象にする。利用者ごとのアクセスログを残し、通常と異なる時間帯の大量のダウンロードなどを確認できるようにする。障害時の連絡先や、接続装置の管理をどちらが受け持つかといった責任の範囲も、技術的な設定と合わせて契約で取り決めておく。

午後での問われ方

参考資料

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